不動産市場と市況・2012年~の流れと動き

アベノミクス発足後、

2020年頃までにGDP600兆円を目標として
様々な施策を掲げましたが大々的に
戦略として力を入れたのが
不動産投資市場政策でした。

社会経済の発展に応じた不動産需要への対応

という事で宿泊施設の増加、物流施設の高機能化等、
更には年金基金等の機関投資家による不動産投資
個人投資家の拡大をと。

一番着目したい点としては年金基金等の期間投資家による
不動産投資という事を掲げていましたが、

これは国が政府機関が一体として
不動産投資の強味いわば資本主義社会に則って
景気を左右させていく事を
大々的に示した形になると思います。

そこで具体的にはどうすれば良いかという事で
2020年頃までにまずはリート等の資産規模を
30兆円に倍増しようという事を一番重要視して、

2012年12月頃から不動産市況を
変えていく時代へと突入しました。

ARESの公開情報だと2012年のJ-REITと私募REITの保有不動産額は約13兆円程

約8年で保有不動産額を30兆円が如何にハードルが
高く不動産価格自体を上昇せざるを得ない形になるか。

というのも、そもそもマクロ的に考えて
国内不動産の取引額を公表事例で見てみると
2012年自体の国内不動産取引は約1兆5千億円でしたが

この取引額の中でREITが最も保有していきたい
オフィスや商業という枠での取引は約3000億円から
4000億円に満たない取引額でした。

投資スタイルでもコア型やコアプラス型、
オポチュニスティック型と大きく分けると
三つのスタイルがありますが、

何をしようとも大前提として安定した資産価値を
形成していく形をとりたい。

コア型の投資スタイルでアセットを
形成していきたいのは誰もが考える事です。

しかしコア型となると都心の一等地のビルが
大前提となって特に未来永劫変わりしない
東京都心五区の商業地域の案件を取得していきたい
という需要は逼迫し続ける事間違いないと思います。

しかし2012年のうちにコア型の主となる
東京都心五区の商業地域の取引額で言うと

オフィスや商業の取引額の約40%
くらいとなるので約1600億円。

マクロ的からミクロ的に見ると

コア型の主となる東京都心五区の取引が
行われている額はこれだけ取引が
されていないという事実が見えてきます。

これがいわば資本主義社会の原理原則でも
あるのかと思ってしまう程に取引額は限られているんです。

土地は限られてしまっており
都心五区に一極集中して日本の経済を支えていく
流れの中では人、物、お金が全て集中してしまう事実があります。

少し話を戻しますが、アベノミクス発足後には
日銀と連携して東日本大震災の影響も
あった事から大々的に金融緩和をしていき
経済を活性化させる動きもスタートしました。

先ず第一に国が国債等でお金を発行し続けるのと
同時に融資を積極的にしていく動きが始まりました。

元を辿れば国の施策でGDP600兆円を
目指すという事で不動産市場政策を取り入れましたが

取引額を倍にするという時点で
融資が使えなかったら全ての計画が

終わってしまうので当たり前の動きだったと思います。

何よりGDPの項目の中に不動産の取引に関わる
部分での計上項目を増やした事も分かりやすかったかと思います。

因みにリーマンショック前の2007年の
国内不動産取引市場は約6兆円程です。

どれだけ東日本大震災で冷えていたか
分かると思いますが、

金融緩和の恩恵も取り入れ早速2013年の
国内不動産取引を見てみると約4兆円まで到達しました。

ここから安定して年間で4兆円を超えてくる取引を
2017年まで続けてきますがそもそも考えてみると

不動産取引枠の種類を見てみると商業地、
オフィスの取引でコア型を見ていくと
都心五区でも良い所で年間約6000億の取引しかないんです。

年間でどんなに買えても6000億の取引枠の中で形成を
作っていきたいとREIT法人含めて誰もが
取得したいとなるとこれは正に価格を上げてでも
取りに行きたいという流れになると思います。

この需要から都心五区の不動産価格は上昇傾向に
ようやく入るのですが面白い事に今現在でもまだ

リーマンショック前の不動産価値と比べても
相場は追いついていなかったりするエリアも多々ある状況です。

そんな状況の中で先進国のプロ達は黙って
日本の不動産取引に参加しない事なんてありえないので、

勿論海外プレイヤーが続々と参加していき活性化
されたのもここ4年から5年で大分増えた要因となります。

特に2017年までは短期資本サイクルプレイヤーと
不動産サイクルプレイヤーと言われる属性のファンドや投資家が

国内不動産取引を牽引していましたが、
2018年に差し掛かろうとしている時期に
短期資本サイクルプレイヤーが減っていく現象が起きてきました。

短期資本サイクルプレイヤーは基本的に
短期で回して売却をして、

新しい案件を取得して

それを短期で回してとオポチュニスティック型を
多く取り入れたりして回していたのですが、

買えなくなってきた事実があります。

2018年に入って何が変わったかと言うと
長期資本サイクルプレイヤーが
参戦してきたことが一番大きく関わってきます。

長期資本サイクルプレイヤーというのは
主に政府系ファンドや年金機構等を指しますが
運用資産規模が桁違いにある資産を運用している属性です。

通常であれば安定した国債等に投資していた
政府系ファンドが日本のコア型不動産が

お金より安定して資産価値としても残ると認識して

大きな取引としてはノルウェーの政府系ファンドが
東急不動産からバルクで渋谷、表参道周辺のビルを
購入したのは衝撃的な出来事でした。

簡易的に計算しても取得した時の坪単価や
NOI利回りを見ても今まで参加してきた
短期資本サイクルプレイヤーや
不動産サイクルプレイヤーは手が出せない
状況の高額単価で取引された事例となります。

また、長期資本サイクルプレイヤーとも
いわれるので一度持つと

短期売却はせずに基本的には数十年持つ
スタンスなのでここの属性がコア型アセットを
買い続けるとなるとコア型不動産の取引は減っていく形となります。

更に電鉄系、大手電機会社や大手新聞各社等、
日本の経済を支えている企業も

続々と不動産での資産形成が如何に強いかという事で不動産へと
事業をシフトしていく動きも多くみられました。

更にはGPIFもコア型不動産取得へ参戦へと。

因みにREIT市場の直近の資産規模は
約22兆円まで来ましたが30兆円まで
まだまだ足りない状況です。

この辺りに関してはまた別でレポートしたいと思います。

そろそろ一度総括しようと思いますが、
もっと経済的な流れを感じて
マクロ的に考えてみると日本国自体は
ずっとデフレ化にあります。

そもそも先進国としてインフレにシフトして
いかなくてはいけないのに
今だインフレへの道のりは険しい状況です。

いわばデフレの中での物の価値感としては
世界から見ると物が割安という事になります。

日本のプライムエリアの不動産価格を
ニューヨークや香港と比較しても
どれだけ安いのかが浮き彫りになっている事実もあります。

何れインフレに強制的になっていく時代が
来るとしたら間違いなくインフレに強いのは
不動産だと思います。

そして経済的な市場と市況、
不動産枠での市場と市況、国の政策観点からの市場と市況、

全てを総合させて考えていくと必然と
どのように資産形成していけばいいか、

どのような案件が適しているかなど見えてくるのですが、

この流れを把握していき更にバランス良く
資産形成をしていくとなると

1人では難しいものがあると思います。

弊社では上記を踏まえた上で中期長期に渡り
サポートしていければと思っております。

最後までご拝読ありがとうございました。